あおいみなさん、こんにちは!現役フロントマンのあおいです。2026年4月25日・5月5日合併号の「マンション管理新聞」は見ましたか?
今号のトップニュースは、非常に衝撃的な内容でした。中東情勢の緊迫化、特にホルムズ海峡周辺を含む地政学リスクの悪化が、私たちのマンション管理の現場に「資材不足」と「価格高騰」という形で直撃しています 。
まず結論からお伝えします。
現在、大規模修繕工事を検討中、あるいは施工中の管理組合は「工期延長」と「請負金額の増額」を避けて通れないフェーズに入っています。 しかし、これは施工会社による一方的な値上げではなく、世界的な供給網の混乱によるものです 。私たちフロントマンや理事役員に求められるのは、パニックになることではなく、法律と契約に基づいた「冷静な協議」と、将来を見据えた「長期修繕計画の抜本的な見直し」です。
この記事では、新聞が報じる表面的なニュースの裏側にある「業界のリアル」を、現役フロントマンの視点で対策を深掘りしていきます。
1. 中東情勢悪化が現場にもたらしている「絶望的な数字」のリアル
結論:シンナー、塗料、防水材といった石油由来の資材が全国的に品薄となり、すでに350物件以上の現場で工期に影響が出ています 。
中東情勢の影響は、単なるガソリン代の値上がりだけでは済みません。大規模修繕工事に不可欠な資材の多くは石油を原料としているからです 。
深刻なアンケート結果
一般社団法人マンション計画修繕施工協会(MKS.A)が実施した緊急アンケートによると、以下の実態が浮き彫りになりました。
- 資材入手困難・納期遅延: 会員企業のうち多くの社が「資材入手が困難」と回答し、影響が及ぶ現場は356物件に達しています 。
- 工期への影響: 未着工物件を含めると、なんと594物件で工期に影響が生じる可能性があるとされています 。
- メーカーの受注停止: 4月に入り、塗料や防水材のメーカーが受注業務を一時停止する事態も発生しています 。
えっ、工事が途中で止まってしまったら、ずっと足場が組まれたままになるんですか……?



残念ながら、その可能性はゼロではありません。実際に、足場架設を中断している現場や、工事延期を視野に入れている会社も出てきてます 。
フロントが聞いた「現場のリアル」
ある50戸規模のマンションで、まさに今月(4月)から塗装工事を始める予定でしたが、メーカーから「シンナーと塗料の出荷が未定になった」と連絡が入ったそうで。工事業者は「足場代のレンタル費用だけが積み上がってしまう」と悲鳴を上げ、管理組合様には急遽、工事の「一時中断」とそれに伴う「工期延長の覚諾」をお願いする説明会を開催する方向で調整しているとのことです。
こうした事態は、今まさに全国のマンションで同時多発的に起きているようです 。
2. 請負代金の値上げ請求は法的に認められるのか?
結論:工事請負契約書の「約款」に基づき、資材価格の急激な高騰は、請負代金の変更協議の対象となります 。
多くの管理組合様が不安に思うのが「一度契約した金額が、勝手に上げられるのではないか?」という点でしょう。ここで重要になるのが、「区分所有法」ではなく、施工会社と結んでいる「工事請負契約書」の約款です。
標準的な約款の規定
一般的な工事請負契約書には、以下のような主旨の規定が含まれています。
「資材の価格が高騰したり、請負代金に影響を及ぼす事象が発生した際は、請負代金の変更請求や協議を申し出ることができる」
つまり、施工会社側には「協議を申し出る権利」があるのです 。しかし、これは「自動的に値上げが認められる」という意味ではありません。
値上げ幅が工事の予算内に収まらない場合や、大幅な変更となる場合は、管理組合としての「総会決議」による承認が不可欠となります 。
管理会社も施工会社も、無理に高い金額を押し付けたいわけではありません。工事業者の本音は「最低限、資材の値上がり分(実費)だけでも補填してほしい」という切実なものです 。
3. マンションの資産を守るための「3つの具体的な解決策」
結論:工期の柔軟な変更、予備費の活用、そして「マンション管理適正化法」を見据えた管理計画の見直しという3段構えの対策が必要です。
メディアは危機感を煽りますが、私たち管理のプロは一歩先を提案しなければなりません。今すぐ理事会で検討すべき解決策は以下の3つです。
① 工期延長・時期スライドの容認
資材が入らない中で無理に工事を強行すると、仕上げの質が低下したり、余計な人件費(足場の延長費用など)がかさんだりします 。 「一季(数ヶ月)ずらす」という選択肢を視野に入れてください 。劣状況を再度チェックし、先送りできる項目を切り分けることで、コスト増を最小限に抑えることが可能です 。
② 工事請負契約時の「スライド条項」の明確化
これから工事を契約、あるいは着工するマンションは、価格変動リスクをあらかじめ見越しておく必要があります。 契約金額の中に一定の「予備費」を多めに計上しておく、あるいは資材価格が一定割合以上変動した場合の精算ルールを事前に細則で決めておくことが、後々のトラブルを防ぐ鍵となります 。
③ 長期修繕計画の「抜本的な」上方修正
今回の騒動を「一過性のもの」と考えないでください。マンション管理適正化法に基づく「管理計画認定制度」や「マンション適正評価制度」では、長期修繕計画の適切さが厳しく評価されます 。
| 項目 | 対策の方向性 | 根拠となる考え方 |
| 修繕積立金 | 段階増額の見直し・均等積立への移行 | 将来の資材高騰リスクへの備え |
| 工事範囲 | 劣化診断に基づく「絞り込み」 | 予算不足による「管理不全」の防止 |
| 借入計画 | 将来借入予定の検討 | 手元資金不足時のバックアップ策 |
実際、最新のデータでは「将来の借入予定」を計画に盛り込むマンションが過去最多となっています 。これは、積立金だけでは近年の工事費高騰に対応しきれないという、厳しい現実の表れでもあります。
4. フロントマンだから言える「メディアが書かない裏側」の推察
結論:今回の資材不足は、管理組合にとって「管理会社の目利き能力」と「施工会社の誠実さ」を試すリトマス試験紙になります。
新聞には「工事業者が頭を悩ませている」と書かれていますが、裏を返せば、管理会社がどれだけ早期にこの情報をキャッチし、組合にフィードバックできているかが重要です 。
業界の裏側にある「受注調整」の動き
実は、大手施工会社の中には「これ以上の赤字受注はできない」として、新規の見積もり参加を辞退(受注停止)する動きが出始めています 。これは一見すると管理組合にとって不利ですが、無理な金額で契約して途中で倒産されるよりは、はるかに健全な判断とも言えます。
私たちフロントマンは、「安くやります」という会社よりも「資材の確保状況を数字で示せる会社」や「納期遅延のリスクを正直に話す会社」を中立的に評価し、理事会の皆様に繋ぐ役割が求められています。
今まで通りの管理計画では、もう通用しない時代なんですね……。



その通りです。だからこそ、国の施策(管理計画認定制度など)をフル活用して、マンションの健康診断をやり直すチャンスだと捉えましょう!
5. まとめ:中立的な対話がマンションの未来を創る
結論:ホルムズ海峡の緊迫化という外部要因は変えられませんが、それに対する「マンションの守り方」は今すぐ変えることができます。
今回のマンション管理新聞の内容をまとめると、以下の通りです。
- 実態: 中東情勢により石油由来の改修資材が品薄・高騰し、現場は混乱している 。
- 法務: 契約約款により、資材高騰に伴う代金変更の「協議」は正当な権利である 。
- 対策: 感情的な対立を避け、工期延長や積立金の見直しを現実的に進めるべきである 。
施工会社を「値上げを企む敵」と見なしたり、管理会社を「頼りない」と責めたりしても、資材は届きません。今こそ、管理組合・管理会社・施工会社の3者がテーブルにつき、マンションの資産価値を維持するために、痛みを分け合いながら建設的な対話をすることが、最善の「防衛術」となります。
あなたのマンションの「長期修繕計画」は、2026年現在の高騰リスクを反映していますか?
もし、今の計画に不安を感じたり、施工会社からの増額請求への対応に困ったりしているフロント担当者様や役員様がいらっしゃれば、一人で抱え込まないでください。現場のリアルを知る立場から、中立的にアドバイスさせていただきます。



大規模修繕は、マンションの人生における一大イベントです。この困難を乗り越えた経験は、必ず将来の「強い管理体制」に繋がります。一歩ずつ、納得感のある合意形成を進めていきましょう!










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